75th Anniversary Memorial Book高電圧通電試験機るプリチャージリレー(HA型)、さらに2011年にはメインリレー(HB型)をそれぞれ開発、生産開始した。次のハイブリッドシステム第四世代ではリチウムイオン電池向け耐短絡電流性能(車両異常時のショート電流にも耐えられる)を備えたヨーク構造を持つHC型を開発した。 数々の困難を乗り越え、独自技術で市場を切り拓いたその歩みは、リレーメーカーとしての誇りと、次代を見据えた挑戦の象徴となった。HAリレーHCリレー38ハイブリッド車用高電圧リレーに挑む 2000年以降、各自動車メーカーからマイルドハイブリッド、フルハイブリッド、プラグインハイブリッドなどさまざまな方式のハイブリッド車が販売されていったが、各タイプともに「高電圧リレー」が搭載されていた。クルマの起動や停止時に高電圧バッテリーから電気モータへ電源供給する回路を安全に接続・遮断する製品である。もともとデンソーが開発していたが、小型化要求が強まったため、小型化ノウハウで定評のある当社に開発依頼があった。当社としては、ハイブリッド車の拡大を見据え、当製品をぜひとも品揃えに加えておきたいと考えた。とは言え、未経験の大電流制御製品であり、技術的難易度が高く、開発が容易でないことは誰の目にも明らかであったが、リレーメーカーとしてのプライドにかけて開発をスタートした。 これまでは12V低電圧の試験環境しかなかったが、400Vというケタ違いの電圧試験が必要になった。まずはこうした開発環境を整えることからスタート、デンソーの設計部門から知見を習得し、設計の考え方をゼロから作り上げていった。 開発当初のハイブリッドシステム第三世代では「高電圧大電流遮断」が大きな開発テーマであった。車両異常時に発生する大電流を遮断する際、接点間に発生する火花(アーク)を、永久磁石による磁場を利用して吹き消す「磁気吹き消し技術」の確立には苦心した。 また、競合他社の高電圧リレーが密閉型であるのに対し、当社はシンプルな開放型構造を採用、部品点数を大きく減らすことで価格競争力も高めた。さらに、当社の得意技であるギャップの自動調整やCAEによる遮断空間の最適化などにより小型化も実現した。 この他にも、絶縁距離の確保、開閉回数などの耐久性などさまざまな技術課題を克服し、2009年にはコンデンサーへの突入電流を制御する回路に使用され
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