第4章 2016-2025 大変革期を超え、次の25年に向かってスマートエントリーECU電子キーキーレス製品 アンデン移管プロジェクトメンバー(第Ⅰ期) 集合写真 移管後の製品品質を保証するには、これまで当社になかったデンソー独自のシステムを取り入れて工程管理を強化するのに加え、電波干渉やテスターの補正、PCB基板のパターンはんだ付け条件出しなどキーレス固有の生産技術習得も大きな課題となった。電波による見えない干渉を減らすため送信機と受信機のラインを岡崎工場の3階と4階に分離するなどの工夫も凝らした。生産面積を創出するために、手組ラインの省面積化や在庫の低減、部品などの置場集約と圧縮、設備や作業場所の集約など、それこそセンチ単位の細かな作りこみを重ねていったのである。こうした努力の甲斐あってキーレスの移管を成し遂げることができた。 当社岡崎工場では、キーレス移管後も車載通信用製品(CXPI)や各種センサ類が立ち上げられた。これらの立ち上げにより、デンソーグループ電子工場の一端を担う企業としての存在感が、一段と高まった。また、現在では当たり前になっているG-FAや工程飛び検出システムなどもキーレス移管時に採用された。工場のセキュリティも強化され、入出門管理や安心カメラ設置など万が一のトラブル対策も備えられていった。キーレス移管は、当社のものづくり環境が大きく変わった節目にもなったのである。41新たな主役 キーレスの生産移管 当社がキーレスの移管先として選ばれた理由としては、まず移管済み製品との高い親和性、電波系検査技術の実績、加えて海外生産拠点に対し「サブマザー工場」の役割を果たせること、さらにはコスト競争力などがポイントとなった。同製品は年間売上約120億円と、電子製品の中でも核となりうる規模であった。移管先に決まった当社岡崎工場では、この移管以外にもソナーの増産もあって生産面積が不足するため、小垣江物流センターの立上げなどの物流改革、マルコンデンソーの活用など、複数のプロジェクトを並走させることにより生産面積を確保する計画を立案し実行に移した。 2017年から1年をかけて移管が進められた。当社がこの先も電子製品工場として事業を発展させていくには、今回のキーレス生産移管の成功は必須の条件でもあった。一方でこの移管にはキーレス特有の難しさがあった。生産数量が多く、しかも手組ラインであり、送受信機を合わせると合計21ラインもの移管作業が必要となった。部品数も補給品なども合わせると数千品番にものぼる。この多品種大量生産をスムーズに移管するため、綿密な計画の立案を行った。
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